deutsch   日本語   English   Esperanto    
エスペラント語について
世界エスペラント協会の英語で書いたテキスト『An Update on Esperanto』(2012年) の翻訳
翻訳者:仲倉寛子 & Duensser Elmar
エスペラント語情報の更新(2012年)

少数民族の権利と言語的および文化的多様性をますます認識してきている世界では、エスペラント語が政策立案者から新たな注目を集めています。 非政府組織は、国際言語に関する質問を国連と欧州連合の議題に置くことをしきりに勧めています。
  • エスペラント運動の根底にある価値観と目標を現代的に書き換えたプラハ宣言は、言語の民主主義を強調しています。
  • 1887年に最初のエスペラントの教科書が登場してから125周年になるその祝賀は、ハノイで開催された第97回エスペラント国際会議で最高潮に達しました。
  • UEA(Universala Esperanto Asocio、世界エスペラント協会)は、ノーベル平和賞の候補として、2009年から定期的にポーランド議会により提案されています。
  • モンゴルエスペラント協会は、UEAの第70番目の加盟協会となりました。
  • 約20のアフリカ諸国にエスペラント協会があります。
  • ドイツの町ヘルツベルクは、「エスペラントの町」と宣言しました。
  • エスペラント語版のウィキペディアには、2012年半ばには170,000を超える項目の掲載がありました。
  • 2012年、Google Translate はエスペラント語を利用可能な言語のリストに追加しました。
  • 700ページを超える内容があるにもかかわらず、エスペラント語のオリジナル文学の新英語百科事典は「縮約」と呼ばれています。
エスペラントの現状についての追加の事実を記します:

目的と起源: 1887年に Lejzer Ludwik Zamenhof 博士によってワルシャワで国際語エスペラントに成った基礎が公にされました。民族言語に代わるものではなく、すべての人にとって追加の第2言語として機能することを目的とした、計画された国際言語という考えは、新しいものではありませんでした。しかし、Zamenhof は、そのような言語は集団的な使用の中で発達していかなければならないと考え、それゆえ彼は、彼の最初の案を最小限の文法と少ない語彙に限定しました。エスペラント語は、今日、世界中に広がる使用者のコミュニティーと広範囲な言語資源を持つ本格的で万能な言語になりました。 Zamenhof のアイデアの多くは、現代言語学の創始者である構造主義者 Ferdinand de Saussure(その兄弟の René がエスペラント語を話した)のそれに先立っていました。

特徴: エスペラント語は話し言葉でもあり、書き言葉でもあります。その語彙は主に西ヨーロッパの言語から派生していますが、その構文と形態はスラブ語の強い影響を示しています。エスペラント語形態素は不変であり、ほとんど無限に多くの異なる単語に再結合可能であるため、この言語は孤立言語である中国語と多くの共通点を持つと同時に、その単語の内部的構造はトルコ語、スワヒリ語、日本語などの膠着的言語との類似性も示しています。

開発: 最初約1000語根で構成されていて、これらを使って10,000から12,000の単語を構成することが出来ました。今日、エスペラント語辞書には15,000から20,000の語根が含まれていることが多く、これらから数十万もの単語の形成が可能で、今なお進化し続けています。エスペラントアカデミーは現在の傾向を監視しています。長い間、この言語は考えられるあらゆる目的に使用されてきましたが、その一部は物議を醸したり問題になったりしました。この言語はスターリンによっては、「コスモポリタン」の言語という理由で、ヒットラーによっては、「 ユダヤ人の言語」(Zamenhof はユダヤ人でした)という理由で両方からその使用を禁じられ、この言葉を話す人達は迫害されました。エスペラント語は第二言語として意図されていますが、今ではエスペラント語を母国語として話す1000人ものネイティブスピーカーもいます。

ユーザー: そのメンバーシップがエスペラントコミュニティの最も活発な部分を形作る世界エスペラント協会(UEA)は、70ヶ国に全国加盟協会と120ヶ国に個人のメンバーを持っています。購入された教科書の数と地域社会の会員数に基づいて割り出すと、エスペラント語についてある程度の知識を持っている人の数は、数十万そしておそらく数百万人にもなります。世界中にエスペラント語を話す人がいて、中国、日本、ブラジル、イラン、マダガスカル、ブルガリア、キューバなどの国々に著しく集中しています。

エスペラントの指導: エスペラント語でコミュニケーションする能力は素早く身に付けることが出来ます。したがって、それは他の言語の学習への理想的な入門手引きとなります。学生達は、数週間以内に文通のために、そして海外への修学旅行のために数ヶ月以内にエスペラント語を使い始めることが出来ます。実験と非公式の観察は、エスペラント語の事前学習が第一外国語と第二外国語の両方の学習に好ましい影響を与えていることを示しています。エスペラント語はいくつかの学校で教えられていますが、ほとんどの人は、文通によって、または語学教室で、または30以上の言語で学習コースを提供している www.lernu.net のようなインターネットサイトを通じて、独学でそれを学びます。 100以上の言語で教科書と独学用の資料があります。www.esperanto.net のウェブサイトは、現在の教育活動のおおよその印象を与えてくれます。

公認: 1954年、ユネスコ総会は、エスペラント語の成果がユネスコの目的と理想に一致することを公認し、ユネスコと UEA の間に公式の関係が確立されました。 1985年の総会では、加盟国と国際機関に対し、学校でのエスペラント教育と国際業務でのその使用を促進するよう求めました。また、UEA は、国連、ユニセフ、欧州評議会、アメリカ組織機構、および国際標準化機構(ISO)とも公式の関係を結んでいます。

会議と旅行: 翻訳者や通訳なしで、毎年100以上の国際大会や会議がエスペラント語で開催されています。[ここから2018年に改正:] 最大のものは毎年開催される世界エスペラント大会で、一番最近ではリール(フランス、 2015年)、ニトラ(スロバキア、2016年)、ソウル(韓国、2017年)、リスボン(ポルトガル、2018年)で開催されました。翌年からは、ラハティ(フィンランド、2019年)とモントリオール(カナダ、2020年)で開催の予定です。

2010年にモンゴルで第6回アジアエスペラント大会が、2011年にはサンパウロで第8回全米エスペラント大会、そして2012年にはトルコのガズィアンテプで第5回中東エスペラント大会が開催されました。

UEAの青年部門が運営する 『Pasporta Servo』というサービスのハンドブックの2011年版には、エスペラント語を話す旅行者に無料の宿泊を提供する90カ国の1087人のホストの住所が含まれています。

研究と図書館: 多くの大学で言語学のコースにエスペラント語が含まれていますが、別個の科目として提供している大学もあります。 特に注目に値するのは、ポーランドのポズナン大学で、言語間学の学位プログラムを提供しています。米国現代語学文学協会の書誌は、毎年300以上の学術出版物をエスペラント語で記録しています。ウィーンの国際エスペラント博物館(オーストリア国立図書館の一部)の図書館には、35,000点以上の作品があります。 2万点を超える作品を収納するその他の主要図書館には、ロッテルダムの UEA 本部にあるホドラー図書館、ストーク=オン=トレントにあるイギリスエスペラント協会の図書館、アーレンにあるドイツエスペラント協会の図書館、東京にある日本エスペラント協会の図書館があります。ウィーンとアーレンのコレクションはオンラインで調べることができ、アイテムは国際的なインターローンシステムを通して入手可能です。

プロの連絡先と特別な興味: エスペラント語を話す人のための組織には、医者、作家、鉄道労働者、科学者、音楽家、そしてその他多数の人のためのものがあります。これ等はしばしば自分の雑誌を発行し、大会を開き、そして専門的なそして特別な用途のための言葉を増やす手伝をします。サンマリノ国際科学アカデミーは大学レベルでの共同研究を促進します。いくつか例を挙げると、天文学、IT、植物学、化学、法律、哲学などの分野で、オリジナルの出版物や翻訳された出版物が定期的に現れています。 2009年に、UEAはダーウィンの『種の起源』を伴う科学的古典の『科学的思考』シリーズを開始し、続いて2010年にノーム・チョムスキーの『言語と精神』を発表しました。

エスペラント語を話すスカウト団員、チェスの選手、囲碁選手、猫愛好家、そして視覚障害者のような人々のためにその専門の同好会があります。 UEA の青年部門 TEJO は、国際大会を開催し、雑誌を発行しています。仏教徒、神道派、ローマカトリック教徒、プロテスタント教徒、クエーカー教徒、バハーイー教徒、そして無神論者はそれぞれ独自の組織を持っており、多くの地域団体や社会団体、同好会がこの言語を使っています。 Sennacieca Asocio Tutmonda(国民性なき全世界協会)はさまざまな労働者グループで構成されています。

文献: エスペラントの活気に満ちた文学の伝統は、1993年にエスペラントの関連団体を受け入れたPENインターナショナルによって認められました。2008年に設立されたエスペラント文学アカデミーは、エスペラントでの執筆を促進させています。エスペラントの著名な現代作家には、小説家のTrevor Steele(オーストラリア)、István Nemere(ハンガリー)、Spomenka Štimec(クロアチア)、および Manuel de Seabra(カタルーニャ)、詩人の Mauro Nervi(イタリア)、Mao Zifu(中国)、Mikhail Gishpling(イスラエル)、Abel Montagut(カタルーニャ)、そしてエッセイストや翻訳者の Probal Dasgupta(インド)と Humphrey Tonkin(アメリカ合衆国)が含まれます。エスペラント語の詩人、 William Auld、Marjorie Boulton、 そして Baldur Ragnarsson はノーベル文学賞に推薦されました。

翻訳: 最近のエスペラント語への翻訳には、シェイクスピアの 『冬物語』、マンゾーニの 『婚約者(いいなづけ)』、J.R.R.トールキンの 『ロードオブザリング』などがあります。『百年の孤独』のガブリエル・ガルシア・マルケス、エリアーデの『マイトレイ』、ハシェクの『勇敢なる兵士シュベイクの冒険』、中国の古典『西遊記』、そしてベトナムの叙事詩、グエン・ズーの『金雲』も入っています。多くのアンソロジーは様々な言語からの詩の翻訳を含んでいます。

子供達のためには、『もじゃもじゃペーター』、『長くつしたのピッピ』、『オズの魔法使い』が、『アステリックス』、『くまのプーさん』、そして『タンタン』 に加わりました。 L. Frank Baum による他の本や世界的に有名なフィンランドの作家 Tove Jansson による『ムーミントロール』の完全版は、オンラインで読むことが出来ます。

エスペラント語からの翻訳には、1965年にエスペラント語で出版された『Maskerado ĉirkaŭ la morto』が含まれています。これは、融資者ジョージ・ソロスの父である Tivadar Soros によるもので、ナチスのブダペスト占領中に家族がどのようにして生き残ったかについて書かれています。この本はイギリスとアメリカで英語で出版され、ロシア語、ハンガリー語、ドイツ語とトルコ語でも出ています。ポーランドのジャーナリスト Roman Dobrzyński による本、『The Zamenhof Street』は、10以上の言語で、最近ではフランス語(2008年)とイタリア語(2009年)で登場しました。最近(2012年)、英語に翻訳されたエスペラント文学のアンソロジーが、英国で『Star in a Night Sky』というタイトルで登場しました。

劇場と映画: ゴルドーニ、イヨネスコ、シェークスピア、アラン・エイクボーンなどの多様な劇作家による演劇が、近年エスペラント語で上演されています。シェイクスピアの戯曲の多くはエスペラント語に翻訳されています。ベトナム、ハノイの地元キャストが、エスペラント語でリア王を演じました。

映画館でのエスペラント語の使用はあまり一般的ではありません。 チャップリンの『独裁者』では、エスペラント語のポスターが貼ってあるシーンが幾つかあります。 クラーク・ゲーブルが出演した映画『Idiot's Delight』と日本映画の『ジャン有馬の襲撃』ではエスペラント語の台詞があり、William Shatner が出演したカルト映画『Incubus』は、エスペラント語のみが使われています。

音楽: エスペラントの音楽ジャンルには、ポピュラーソング、フォークソング、ロック、キャバレー、ソロ、合唱曲、オペラなどがあります。 エルヴィス・コステロやマイケル・ジャクソンを始めとする人気の作曲家やパフォーマーは、エスペラント語で録音し、その言葉に触発されたスコアを書いたり、ビデオに使用したりしています。エスペラント語のテキストを含む古典的なオーケストラと合唱作品は、Lou Harrison の『La Koro Sutro』と David Gaines の第一番目の交響曲を含みます。2人とも米国の出身です。エスペラント語の音楽は、オンラインで見つけることが出来ます。

雑誌: 毎月のニュースマガジン Monato、ユースマガジン Kontakto、UEAの Esperantoマガジンなど、100以上の雑誌や新聞がエスペラント語で定期的に発行されています。多くの雑誌にオンライン版があり、過去の版をオンラインで投稿しています。医学、科学、宗教についての定期刊行物、教育刊行物、文学評論、および特別関心事トピックスに関する刊行物があります。

インターネット: エスペラント語はインターネットで広く使用されており、その使用は急速に拡大しています。家庭使用のエスペラント語から一般相対性理論にまで及ぶトピックスを網羅する数百のディスカッショングループがあります。エスペラント語は、ICQ、IRC、MSN、および Skype のインスタントメッセージングプログラムで広く使用されています。 スペルチェッカー、文法チェッカーなどのコンピュータプログラム、それからキーボード配列は、エスペラント語で作成されています。 Open Office、Firefox、IrfanView、KDE グラフィカルデスクトップ環境、Ubuntu および Mandriva オペレーティングシステムなどのプログラムは、エスペラント語で入手できます。 Google、Wikipedia、Facebook、Ipernity などの人気のあるWebサイトには、エスペラント語版があります。

UEAサービス: UEA は、エスペラント語の団体や世界中の地元の代表者をリストアップした本、雑誌、そして年鑑を発行しています。これらの出版物、CD、DVDなどに関する情報は、katalogo.uea.org で見付けることが出来ます。 UEAのブックサービスには、約5,000の在庫があります。

エスペラントの情報については、UEAにお問い合わせ下さい。
UEA(世界エスペラント協会) の連絡先:

Universala Esperanto Asocio
Nieuwe Binnenweg 176, 3015 BJ Rotterdam,
NEDERLAND
電話: +31 10 436 1044     FAX: +31 10 436 1751     メールアドレス: info@uea.org     ウェブサイト: www.uea.org


 



全容のページに戻る